共感的理解の意味は、相手の感情に巻き込まれないように、その感情を受け入れる・理解することです。
同情のように相手の感じている苦しみや不幸に対して「可哀そうだ」など、自分の立場から相手を哀れんだり感情的になったりすることと、共感的理解は根本的に違います。
共感的理解は相手の辛い話や苦しい話を聞くことで、「そういう事をされたら自分はどう思うだろうか」「相手は今どういう気持ちだろうか」を想像し、理解しようとすることです。

共感的理解は、介護においても役立てられます。
高齢者とその介護をする家族間では、特に健常者である家族側が高齢者の意図や行動を理解できず苛立ちが募り、辛く当たってしまいがちです。
しかし共感的理解の「傾聴」と「受容」の概念を持って相手の行動や言動に対することで、家族自身の辛さが和らぎ、落ち着いた介護が望めるようになります。

傾聴とは、相手の言うことに耳を傾けることであり、需要とは相手の言葉に善悪・是非を下さず、受け入れることです。
安易に「判ります」といった言葉は使わず、感情的な相手には「大変でしたね」「辛かったんですね」など、あくまで相手の感情に寄り添うような言語化をして、「あなたが言っていることは伝わっています」という理解を示すに留めましょう。
特に優しい人ほど、悩みを聞くことでそれを解消してあげたい、と思いがちです。
しかしそれを解決するのは悩みを持つ側自身です。解決方法を一緒に探すなど、寄り添う立場で接しましょう。