対人援助の専門職である介護職。
身体上または精神上の障害がある利用者の日常生活をサポートすることが、仕事の中心です。
その主な目的は、利用者が日常生活に支障をきたしている部分に対し、専門的な技術やノウハウを駆使しながらできるだけ健常者の生活と同じレベルに近づけることにあります。

ただし、ここで言う日常生活とは、起床から朝食そして仕事から帰宅して入浴や就寝といったように、単に形式的な1日の流れを指すわけではありません。
人にはそれぞれ長年培ってきた生活スタイルがあり、習慣や価値観あるいは地域社会とのつながりを見ても誰一人として全く同じものはなく、極めて個性的なものと言えます。
つまり日常生活を介護するということは、個性の異なる一人ひとりの生活を補うことです。
そして、その人にふさわしい本来の日常生活に近づける取り組みと言い換えることができます。

日常生活という極めて個性的な部分をサポートする以上、利用者の身体面や精神面には十分な配慮が必要です。
また、利用者がこれまで生きてきた過程や社会的に置かれた立場などあらゆる個性を把握し、共感的に理解することが介護職には求められます。
この共感的理解によるサポートこそ、思いやりの介護と呼ばれるものです。
利用者の置かれた状況や気持ちをあたかも自分のように感じ取り寄り添うことが、介護現場では必要なことです。
これが上手くいけば、利用者との信頼関係も形成されていくでしょう。
その結果、普段の介護の仕事をスムーズに進めることができます。